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モジュール2の平歯車20歯と40歯を並べた俯瞰画像

平歯車(スパーギア)とは?歯数・軸穴径・歯幅の選び方を解説

平歯車(スパーギア)は、平行な2軸の間で回転と動力を伝える最も基本的な歯車です。歯すじが軸と平行にまっすぐ切られており、構造がシンプルで設計・製造がしやすいことから、ロボットやDIY機構、3Dプリント部品まで幅広く使われています。meta-maticの平歯車ジェネレーターでは モジュール / 歯数 / 軸穴径 / 歯幅 の4項目を指定するだけで、平歯車の3Dモデルを生成することができます。本ガイドでは、平歯車の基本構造と、モジュール・歯数・軸穴径・歯幅の選び方、ピッチ円直径などの主要寸法の計算方法、3Dプリント時の注意点を解説します。

平歯車とは

平歯車は、インボリュート曲線と呼ばれる滑らかな曲線を歯面に採用した歯車です。インボリュート歯形は、2つの歯車がかみ合いながら回転しても回転比が一定に保たれ、多少の軸間距離の誤差を許容できるという優れた特性があり、現在の機械用歯車の主流になっています。かみ合う2つの平歯車は互いに逆方向に回転します。

図1: かみ合う平歯車は互いに逆回転する(20歯×40歯・モジュール2)

meta-maticの平歯車ジェネレーターは、圧力角20°・歯末のたけ 1.0m・歯元のたけ 1.25m・バックラッシュ 0 を固定パラメータとして内部に持ち、JIS B 1701-1 / ISO 53 の標準基準ラック歯形に準拠した形状を生成します。

平歯車生成
平歯車生成SPUR GEARhttps://meta-matic.com/3d/spur-gear/
参考実装としての位置づけ
本ツールは標準的な歯形寸法をもとに生成しています。圧力角やバックラッシュなどは固定値のため、精密用途や既製歯車との組み合わせでは、必ず相手歯車との噛み合いを実機・CAD上で確認してください。

モジュールの選び方

モジュール(記号 m は歯の大きさを決める規格値で、ピッチ円直径とは d = m × z(モジュール × 歯数)の関係があります。モジュールが大きいほど歯は大きく頑丈になり、小さいほど細かくコンパクトになります。最も重要なルールは、かみ合う歯車どうしは必ず同じモジュールにそろえることです。用途の目安は、小型機器なら 0.5〜1、ロボットやDIY なら 1〜2、高トルク用途なら 3 以上が目安です。モジュールの決め方や市販ギアとの組み合わせは、関連記事で詳しく解説しています。

モジュールの異なるラックギアを2つ並べた比較画像(module 1.0 / 3.0)
歯車モジュールの選び方 — 3Dプリント・DIYで失敗しないためにhttps://meta-matic.com/learn/gear-module/

歯数の選び方

歯数は 17〜120枚の範囲で指定できます。歯数は歯車の外径と減速比を左右する最も基本的なパラメータです。同じモジュールなら、歯数が少ないほど小径でコンパクトになり、多いほど大径になって相手歯車との減速比を大きく取りやすくなります。

モジュール2の平歯車20歯・40歯・80歯を並べ外径差を示した図
図2: 同じモジュール(m=2)でも歯数が増えると外径が大きくなる
17歯未満が作れない理由(アンダーカット)
圧力角20°の標準転位なしインボリュート歯車では、歯数がおよそ17枚を下回ると、工具が歯元を削りすぎるアンダーカットが発生し、歯の付け根が細く弱くなります。本ジェネレーターはこの限界に基づき最小歯数を17枚としています。どうしても少歯数が必要な場合は、転位歯車など別の手法が必要です。

軸穴径(bore)の選び方

軸穴径は 0〜100mmで指定し、0 を指定すると軸穴なしの平歯車が生成されます。基本は取り付けるシャフトの直径に合わせますが、3Dプリント時の収縮や寸法誤差を考慮して +0.1〜0.2mm程度大きめに設計すると、印刷後にシャフトが入りやすくなります。

キー溝やDカットシャフトを使う場合
本ジェネレーターは円形の軸穴のみに対応しています。キー溝やDカット軸など特殊形状に合わせたい場合は、軸穴径を 0 にして生成し、Fusion 360 や FreeCAD などのCADソフトで後加工してください。

歯幅の選び方

歯幅は 1.0〜50mmの範囲で指定できます。歯幅を広げるほど歯の接触面積が増えて伝達できるトルクが大きくなりますが、その分だけ重量が増え、3Dプリントの時間も長くなります。目安として、歯幅はモジュールの6〜10倍程度(例: m=2 なら 12〜20mm)にすると強度と実用性のバランスが取りやすくなります。

20歯の平歯車を歯幅5mm・10mm・20mmで並べ厚みの違いを示した図
図3: 歯幅を広げるほど強度は上がるが重く・印刷時間も長くなる

主要寸法の計算

平歯車の主要寸法は、モジュール m と歯数 z の2つから計算できます。meta-maticのジェネレーター画面でも、入力に応じてピッチ円直径などが自動表示されます。

名称記号計算式m=2・z=20 の例
ピッチ円直径dm × z40.00 mm
歯先円直径Dam × (z + 2)44.00 mm
歯底円直径Dfm × (z − 2.5)35.00 mm
円ピッチpπ × m6.28 mm
表1: 平歯車の主要寸法(圧力角20°・標準歯形)
モジュール2・20歯の平歯車の歯形を線画化した名称説明用の図
図4: 歯先円・ピッチ円・歯底円の位置関係

かみ合う2つの平歯車の中心距離a = m × (z1 + z2) ÷ 2 で求められます。例えば m=2 の 20歯と40歯をかみ合わせる場合、中心距離は 2 × (20 + 40) ÷ 2 = 60mm です。

STEPファイルの生成手順

meta-maticの平歯車ジェネレーターは、ブラウザ上でパラメータを入力するだけでSTEPファイルを即座にダウンロードできます。

  1. モジュールを決める

    かみ合わせる相手の歯車と同じモジュールを選びます。単独で使う場合は、必要な強度やサイズ感からモジュールを決めます。
  2. 歯数を決める

    必要な減速比や外径から歯数を決めます。駆動側と従動側の歯数比は 歯車比・減速比計算ツール で確認できます。
  3. 軸穴径と歯幅を決める

    シャフト径に合わせて軸穴径を、必要トルクに合わせて歯幅を入力します。3Dプリントでは軸穴を少し大きめにします。
  4. ジェネレーターで生成・ダウンロード

    上記の値を入力して「STEPファイルを生成」を押すと、STEPファイルが自動でダウンロードされます。
  5. CADソフトで開いて確認

    Fusion 360 / SolidWorks / FreeCAD などで開き、相手歯車との中心距離や噛み合いをアセンブリ上で検証します。
平歯車生成
平歯車生成SPUR GEARhttps://meta-matic.com/3d/spur-gear/

3Dプリント時の注意点

平歯車は歯形が比較的単純で3Dプリントに向いていますが、歯面の精度がかみ合いの滑らかさを左右します。次の点に注意すると、実用的な歯車を印刷できます。

かみ合いがうるさい・引っかかる場合
騒音や引っかかりの主な原因は、バックラッシュ不足・軸の芯ズレ・印刷精度です。相手歯車との中心距離を再確認し、歯面が荒い場合は積層ピッチを細かくすると改善することがあります。

よくある質問

Qモジュールが違う歯車はかみ合いますか?
かみ合いません。歯車の歯の大きさはモジュールで決まるため、かみ合わせる2つの歯車は必ず同じモジュールにそろえる必要があります。詳しくは関連記事「歯車のモジュールとは」を参照してください。
Q歯数が違ってもかみ合いますか?
同じモジュールであれば、歯数が違ってもかみ合います。歯数の違いがそのまま減速比になります。例えば20歯と40歯の組み合わせは減速比2になります。
Q17歯未満の平歯車は作れますか?
本ジェネレーターでは作れません。標準転位なしの圧力角20°のインボリュート歯形では17歯を下回るとアンダーカットで歯元が弱くなるため、最小歯数を17枚に設定しています。
Q3Dプリントした平歯車は実用的ですか?
低速・低負荷の用途であれば十分実用になります。PLAやPETGで印刷した平歯車はホビーロボットや試作機で広く使われています。ただし高速・高負荷・連続運転では金属歯車より歯面の摩耗が早く進みます。
Q生成したSTEPファイルはFusion 360やFreeCADで編集できますか?
できます。出力は標準的なSTEP形式のため、Fusion 360・SolidWorks・FreeCADなど主要なCADソフトで開いて、軸穴の追加工やボス・キー溝の付与などを行えます。

関連リソース

平歯車と組み合わせて使うことの多い歯車や、設計に役立つ計算ツールをまとめました。用途に応じて使い分けてください。