ベアリング型番の読み方 — 6204・608・系列別寸法カタログまとめ
ベアリング(深溝玉軸受)の 呼び番号 は、6204 や 608 のように数字 3〜4 桁で表される 規格化された識別番号 です。6204 の「62」や 6804 の「68」のように先頭の 系列記号 が 断面寸法(外径と幅のバランス) を、末尾の 内径番号 が 内径 d を表します。本ガイドでは、5 つの主要系列(68 / 69 / 60 / 62 / 63)の使い分け・内径番号の読み方・JIS B 1521 / ISO 15 に基づく 65 型番カタログ・寸法から型番を逆引きする方法を、meta-matic のベアリング生成機能と関連付けて解説します。
ベアリング型番(呼び番号)とは
呼び番号(designation)は ベアリング 1 個の標準境界寸法を特定する型番 です。6204 と書けば「内径 20 mm・外径 47 mm・幅 14 mm・角部フィレット r ≤ 1.0 mm(最小面取り寸法)」の標準境界寸法が決まり、ISO/JIS 準拠品どうしであれば メーカーが違っても同じ寸法のものが手に入ります。これはねじの M3 や M5 が直径とピッチを一意に決めるのと同じ仕組みで、規格が 互換性 を保証しています。なお、シール記号 ZZ/2RS・すきま記号 C2/C3・精度等級記号 P5/P4 などは別途記号で指定する必要があります。

深溝玉軸受の呼び番号は JIS B 1521 / ISO 15 で定められた標準境界寸法に基づきます。呼び番号から d / D / B / r の 4 値が一意に決まるため、設計図に「6204 を使用」と書くだけで軸径・ハウジング穴径・スペーサ厚みなどがすべて確定します。逆に言えば、呼び番号を知らないまま「同じくらいの大きさのベアリング」を選ぼうとすると、d が同じでも外径や幅が違って既存のハウジング穴に入らない、というトラブルが発生します。

ZZ・接触シール付き 2RSの補助記号、円すいころ軸受やスラスト軸受などの別形式、すきま記号 C2/C3/C4・精度等級記号は扱いません。呼び番号の 2 つの構成要素
呼び番号は 系列記号 と 内径番号 の 2 つの部分から成ります。6204 の場合、62 が系列記号(62 系列=中重荷重)、04 が内径番号(内径 d = 04 × 5 = 20 mm)です。同じ系列でも内径番号が変われば外径・幅が変わり、同じ内径でも系列が変われば外径・幅が変わります。
- 系列記号(先頭 2 桁) —
68/69/60/62/63の 5 種類。数字が大きいほど 外径とリング肉厚が大きく、許容荷重が高くなる - 内径番号(末尾 2 桁) —
00〜10の数字。04以降は 数字 × 5 = 内径 d (mm) で読む(詳細は § 内径番号の読み方に記載) - ミニチュア(
688/608等の 3 桁型番) — 末尾 1 桁が内径を直接表す特殊表記(688は内径d=8 mm・系列68)
この構造を理解すると、「6204 と 6304 は同じ内径 20 mm で系列だけが違う」「6004 と 6204 は同じ系列ではないが内径 20 mm で共通」のような関係性が型番だけで読み取れるようになります。
主要 5 系列の比較
深溝玉軸受の系列は 薄肉から重荷重まで 5 段階 で整理されています。同じ内径 d = 20 mm(内径番号 04)で 5 系列を並べると、外径と幅が段階的に大きくなることがわかります。

| 系列 | 通称 | 内径 d=20 の例 | 外径 D / 幅 B | 用途の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 68 系列 | 超薄肉 | 6804 | 32 / 7 mm | 小型ロボット・カメラジンバル・薄型機構 |
| 69 系列 | 薄肉 | 6904 | 37 / 9 mm | 小型減速機・自転車ハブ・3Dプリンター可動部 |
| 60 系列 | 軽荷重 | 6004 | 42 / 12 mm | 小型モーター・卓上機器・DIY 標準 |
| 62 系列 | 中荷重 | 6204 | 47 / 14 mm | 最頻出。電動工具・DC モーター・汎用機械 |
| 63 系列 | 重荷重 | 6304 | 52 / 15 mm | 産業機械・大トルク減速機・重荷重軸 |
62 系列が第一候補 です。62 系列(6200〜6210)は同じ内径でも 60 系列より外径と幅が大きい分、許容荷重が高くなります。入手性も良好です。薄型化や軽量化が必要になってから 68 / 69 系列の検討に移るのが、設計手戻りの少ない順序です。内径番号の読み方
内径番号(呼び番号末尾 2 桁)と実際の内径 d の対応は 非連続的なテーブル方式 です。00〜03 は不規則な値、04 以降は コード × 5 mm という機械的な掛け算で算出できます。
| 内径番号 | 内径 d (mm) | 計算式 | 対応する呼び番号の例 |
|---|---|---|---|
| 00 | 10 | (不規則) | 6000 / 6200 / 6800 |
| 01 | 12 | (不規則) | 6001 / 6201 / 6801 |
| 02 | 15 | (不規則) | 6002 / 6202 / 6802 |
| 03 | 17 | (不規則) | 6003 / 6203 / 6803 |
| 04 | 20 | 04 × 5 = 20 | 6004 / 6204 / 6804 |
| 05 | 25 | 05 × 5 = 25 | 6005 / 6205 / 6805 |
| 06 | 30 | 06 × 5 = 30 | 6006 / 6206 / 6806 |
| 07 | 35 | 07 × 5 = 35 | 6007 / 6207 / 6807 |
| 08 | 40 | 08 × 5 = 40 | 6008 / 6208 / 6808 |
| 09 | 45 | 09 × 5 = 45 | 6009 / 6209 / 6809 |
| 10 | 50 | 10 × 5 = 50 | 6010 / 6210 / 6810 |
00〜03 の対応(10 / 12 / 15 / 17)は規則性がなく、設計時にミスが起きやすい部分 です。たとえば「6200 だから内径 20mm」と勘違いするのが典型的な失敗例。実際は 6200 は内径 10 mm(内径20 mm になるのは 6204 から)です。04 以降は × 5 で機械的に計算するだけなので暗記不要です。ミニチュア(688 / 698 / 608 / 628 / 638 など)は 末尾 1 桁 が内径を直接表します。688 は 68 系列・内径 8 mm、609 は 60 系列・内径 9 mm と読みます。これらは d=8〜9 mm の極小サイズ専用で、本ガイドでは d8 と d9 のミニチュアタイプ計 10 種類を扱います。

主要ベアリング型番一覧(65 種類)
以下は meta-matic で生成可能な 65 型番 を系列別に一覧化しています。d / D / B / r の 4 値は JIS B 1521 / ISO 15 標準境界寸法を参照したものです。
68 系列(超薄肉・11 型番)
| 呼び番号 | d | D | B | r |
|---|---|---|---|---|
6800 | 10 | 19 | 5 | 0.3 |
6801 | 12 | 21 | 5 | 0.3 |
6802 | 15 | 24 | 5 | 0.3 |
6803 | 17 | 26 | 5 | 0.3 |
6804 | 20 | 32 | 7 | 0.3 |
6805 | 25 | 37 | 7 | 0.3 |
6806 | 30 | 42 | 7 | 0.3 |
6807 | 35 | 47 | 7 | 0.3 |
6808 | 40 | 52 | 7 | 0.3 |
6809 | 45 | 58 | 7 | 0.3 |
6810 | 50 | 65 | 7 | 0.3 |
69 系列(薄肉・11 型番)
| 呼び番号 | d | D | B | r |
|---|---|---|---|---|
6900 | 10 | 22 | 6 | 0.3 |
6901 | 12 | 24 | 6 | 0.3 |
6902 | 15 | 28 | 7 | 0.3 |
6903 | 17 | 30 | 7 | 0.3 |
6904 | 20 | 37 | 9 | 0.3 |
6905 | 25 | 42 | 9 | 0.3 |
6906 | 30 | 47 | 9 | 0.3 |
6907 | 35 | 55 | 10 | 0.6 |
6908 | 40 | 62 | 12 | 0.6 |
6909 | 45 | 68 | 12 | 0.6 |
6910 | 50 | 72 | 12 | 0.6 |
60 系列(軽荷重・11 型番)
| 呼び番号 | d | D | B | r |
|---|---|---|---|---|
6000 | 10 | 26 | 8 | 0.3 |
6001 | 12 | 28 | 8 | 0.3 |
6002 | 15 | 32 | 9 | 0.3 |
6003 | 17 | 35 | 10 | 0.3 |
6004 | 20 | 42 | 12 | 0.6 |
6005 | 25 | 47 | 12 | 0.6 |
6006 | 30 | 55 | 13 | 1.0 |
6007 | 35 | 62 | 14 | 1.0 |
6008 | 40 | 68 | 15 | 1.0 |
6009 | 45 | 75 | 16 | 1.0 |
6010 | 50 | 80 | 16 | 1.0 |
62 系列(中荷重・11 型番・最頻出)
| 呼び番号 | d | D | B | r |
|---|---|---|---|---|
6200 | 10 | 30 | 9 | 0.6 |
6201 | 12 | 32 | 10 | 0.6 |
6202 | 15 | 35 | 11 | 0.6 |
6203 | 17 | 40 | 12 | 0.6 |
6204 | 20 | 47 | 14 | 1.0 |
6205 | 25 | 52 | 15 | 1.0 |
6206 | 30 | 62 | 16 | 1.0 |
6207 | 35 | 72 | 17 | 1.1 |
6208 | 40 | 80 | 18 | 1.1 |
6209 | 45 | 85 | 19 | 1.1 |
6210 | 50 | 90 | 20 | 1.1 |
63 系列(重荷重・11 型番)
| 呼び番号 | d | D | B | r |
|---|---|---|---|---|
6300 | 10 | 35 | 11 | 0.6 |
6301 | 12 | 37 | 12 | 1.0 |
6302 | 15 | 42 | 13 | 1.0 |
6303 | 17 | 47 | 14 | 1.0 |
6304 | 20 | 52 | 15 | 1.1 |
6305 | 25 | 62 | 17 | 1.1 |
6306 | 30 | 72 | 19 | 1.1 |
6307 | 35 | 80 | 21 | 1.5 |
6308 | 40 | 90 | 23 | 1.5 |
6309 | 45 | 100 | 25 | 1.5 |
6310 | 50 | 110 | 27 | 2.0 |
ミニチュア族 d=8 / d=9(10 型番)
| 呼び番号 | d | D | B | r | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
688 | 8 | 16 | 4 | 0.2 | 68 系列 |
698 | 8 | 19 | 6 | 0.3 | 69 系列 |
608 | 8 | 22 | 7 | 0.3 | 60 系列・スケボー定番 |
628 | 8 | 24 | 8 | 0.3 | 62 系列 |
638 | 8 | 28 | 9 | 0.3 | 63 系列 |
689 | 9 | 17 | 4 | 0.2 | 68 系列 |
699 | 9 | 20 | 6 | 0.3 | 69 系列 |
609 | 9 | 24 | 7 | 0.3 | 60 系列 |
629 | 9 | 26 | 8 | 0.6 | 62 系列(r=0.6 は非 JIS) |
639 | 9 | 30 | 10 | 0.6 | 63 系列 |
寸法から型番を逆引きする
中古の機械や既存設備の補修で「手元のベアリングが何の型番か分からない」というケースは少なくありません。ノギスやマイクロメーターで d / D / B の 3 値を測れば、上記カタログから型番を逆引きできます。r(角部フィレット)は測りにくいですが、d / D / B が他の行と重ならない値なら、その時点で 1 行に絞り込めます。
内径 d を測る
軸穴の直径をノギスで測定します。最も精度が出やすい寸法 なので、ここを基準に絞り込みを始めると確実です。外径 D を測る
外輪外周の直径を測定します。内径と組み合わせた段階で系列がほぼ確定するため、一般的な深溝玉軸受であれば多くの場合 68/69/60/62/63 系列のいずれかに絞り込めます(16000 系列・R シリーズなどの特殊品は別途確認)。幅 B を測る
軸方向の厚みをノギスで測定します。同じ内径と外径でも幅が違えば別の型番(例:6004と6204は内径が20mmで共通でも幅は12mmと14mmで異なる)。カタログで照合する
上記 3 値を § 主要ベアリング型番一覧 と照合し、一致行の呼び番号を読みます。r(角部フィレット)も一致する場合は 標準系列品である可能性が高く なります。合わない場合はメーカー独自寸法や別規格(ISO/DIN 等)の可能性があります。
d / D / B / r の数値を入力すると REF カードに対応する呼び番号が自動表示 されます。寸法が JIS 標準と一致すれば呼び番号が出力され、一致しなければ CUSTOM 表示になります。型番が分からない既存品の型番特定に利用することが可能です。
STEPデータを生成する
呼び番号または d / D / B / r の 4 値が決まれば、meta-matic で 3D CAD 用 STEP ファイル をその場で生成できます。フォームの型番入力欄に 6204 のように呼び番号を入れると、寸法 4 値が自動充填されます。Fusion 360・FreeCAD・SolidWorks・Rhinoceros 等の主要 CADソフトにアップロード可能です。
ZZ)・接触シール(2RS)・保持器・グリスは含まれません。設計図用の参考形状や 3D プリンター用の置換ダミーとしては有効ですが、実機相当のシール構造が必要な場合は CADソフト側で追加してください。また、内部の溝半径・玉数・玉径は JIS 規格に値が存在しないため、本ツール独自の幾何ルールで生成されます(規格完全準拠ではなく参考実装)。また、ベアリングを軸に組み付けるときは、軸とベアリング内径のはめあい公差 が重要です。6204 のベアリング内径は呼び寸法 20 mm ですが、実際の許容差は等級によって +0 / -0.010 mm 程度です。これに対し軸側を「すきまばめ」「中間ばめ」「しまりばめ」のどれにするかは、回転方向・負荷条件・温度変化で決まります。具体的な軸径と公差クラスの計算は ISO はめあい公差計算ツール で確認できます。
よくある質問
Q`6204` と `608` の違いは何ですか?
6204 は 62 系列・内径 20 mm(外径 47mm / 幅 14mm)、608 は 60 系列・ミニチュア族・内径 8 mm(外径 22mm / 幅 7mm)です。6204 は電動工具やモーター軸で頻用、608 は 3D プリンターの押出機やスケートボードでよく使われます。Q`6000 番台` と `6200 番台` はどちらを使えばいいですか?
Q`6204ZZ` や `608-2RS` の `ZZ` `2RS` とは?
ZZ(または 2Z)は両側に金属シールド板を持つ防塵タイプ、2RS(または 2RU)は両側に接触ゴムシールを持つ防水・防塵タイプを示します。何も付かない型番(例 6204)は 開放形 で、軸受の両側にシールド/シールが付かないタイプです。meta-matic で生成されるのは開放形の外形のみで、シール部品は含まれません。Qベアリングの CAD データはどこで入手できますか?
Q軸径からベアリングを決めるとき、内径はどう選びますか?
8 mm なら内径 8 mm の 608 / 628 / 638 などのミニチュア(系列は荷重で選択)、軸径 20 mm なら 6004 / 6204 / 6304 のいずれかから荷重条件で選びます。軸側はベアリング内径に対して k5 / m5(しまりばめ) や j6(中間ばめ) などの公差クラスで仕上げます。詳細は ISO はめあい公差計算ツール を参照してください。